土に還る

TSU

2015年06月01日 18:35



「富士日記」の中で、愛犬のポコが死んだ後、武田百合子は「ポコ、早く土の中で腐っておしまい。」と書く。

ポコを埋めるシーン、
「穴のそばにぺったり座って私は犬を抱いて、げえっというほど大声で泣いた。
泣けるだけ永く泣いた。それからタオルにくるんで、それから犬がいつもねていた毛布にくるんで、穴の底に入れようとしたら、
「止せ。なかなか腐らないぞ。じかに入れてやれ」と主人は言った。
だからポコをじかに穴のなかに入れてやった。
ふさふさした首のまわりの毛や、ビー玉の眼の上にじかに土をかけて、それから、どんどん土をかけて、かたく踏んでやったのだ。」

この文章を思い出して、同じ様にかたく踏んでやろうと思ったのだけど、どうしても踏めなかった。

戦争を知っている人たちは強い。

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