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猫事記 › 猫の歌と画 › 「一匹の猫」

2012年09月23日

「一匹の猫」

「一匹の猫」

「一匹の猫」
私の中には
一匹の猫がいる
怠惰で高貴で冷ややかで
自分の思うようにしか動かない
その気品にみちた華奢な手足を伸ばして
悠然とねそべっている
猫はいつも
しみったれて実生活的な私を
じっと見下ろしているのだ

歩くときも
話をするときも
猫は決して低くなろうとしない
そのしなやかな体で
ちょっと上品なしなを作ると
首を高く上げたまま立ち去るのだ

私は
もっと汚く
もっと低く
もっと気楽に生きようとするが
私の中の猫は
汚れることをきらい
へつらうことをきらい
馴れ合うことを拒絶し
いつも
気位高く
美しい毛並をすんなりと光らせて
世にも高貴にねそべっている

《『分身』より  塔和子 》


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この記事へのコメント
そうだよな...と深くうなずき何度も読み返しては
納得の心。女性にも男性にも二つの心が同席して
いますね。相反する思いのどちらを選択するかは、
その時の心の揺れ具合で決まります。後悔するか
気高く貫くか、思い悩むのもまた人間の証かも。
泥臭くても真っ当だと言い切れる自分がいいな〜。
Posted by 北の旅烏 at 2012年09月27日 07:43
北の旅鳥さま
私のような甘ったれた生き方をしているものにはとうていわからない過酷な状況の中での詩ですが、それでも時々「私の中には一匹の猫がいる」と心のなかで言ってみます。
あ、笑吉じゃあだめですよ。
Posted by TSUTSU at 2012年09月27日 16:40
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「一匹の猫」
    コメント(2)